
確定申告とは、一定期間(通常は1年)に受けた所得について、
その金額と税額を計算し、税務署に報告・申告することを指します。
個人や企業が所得税法などの税法に基づき、所得税、法人税等の納税義務の有無や税額を自己申告する制度です。
日本における確定申告の期限は毎年2月16日から3月15日までで、
この期間に前年の所得に関する申告を行う必要があります。
確定申告では、所得の種類に応じて以下のような申告を行う場合があります:
- 給与所得者の年末調整の精算
- 自営業者の事業所得
- 不動産を貸して得た家賃収入(不動産所得)
- 株式や投資信託の売買から得た利益(譲渡所得)
- 副業やアルバイトの収入(雑所得)
また、税金の払いすぎがあった場合には、確定申告を通じて還付を受けることが可能です。また、医療費控除やふるさと納税の控除など、確定申告をすることによって税金が減額されるケースもあります。
確定申告を行う際には、以下のものが必要となります。
- 収入証明書類
- 給与所得の場合は給与所得の源泉徴収票
- 自営業者であれば収入と経費の帳簿
- 不動産所得がある場合は、家賃収入の証明となる資料
- 譲渡所得がある場合は、譲渡証明書や取引明細書など
- 雑所得がある場合はそれに関する証明書類
- 経費に関する証拠書類
- 領収書
- 請求書
- 支払証明書
- 税金の払い過ぎを証明する書類
- 医療費の領収書(医療費控除を申請する場合)
- ふるさと納税の寄付金受領証明書
- 本人確認書類
- 運転免許証
- パスポート
- 住民基本台帳カードなど
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 個人番号(マイナンバー)を証明するため
- 金融機関の口座情報
- 還付金を振り込んでもらうための口座番号、支店名
- 確定申告書
- 国税庁のホームページからダウンロードするか、税務署で入手して記入する
これらの書類を準備し、上記の期限内に税務署に提出することで確定申告が完了します。必要な書類は個人の状況によって異なる場合があるので、事前にチェックしておくことが大切です。
以下は確定申告に必要な手順の概略です:
- 所得と経費の計算
- 年間に得たすべての収入と支出を計算し、所得を明らかにします。
- 必要書類の収集
- 上記で説明したように、必要な収入証明書類、経費に関する証拠書類、税金の払い過ぎを証明する書類などを収集します。
- 確定申告書の記入
- 国税庁のホームページからダウンロードした確定申告書に必要事項を記入します。または税務署で提供される書類を利用します。
- 控除の検討
- 医療費控除、住宅ローン控除、ふるさと納税控除など、利用できる控除を確認し、適用します。
- 質問・相談
- 何か不明点があれば、税務署や税理士に質問や相談をします。
- 申告・納税
- 確定申告書を税務署に提出し、計算された税額を納付します。税金の払い過ぎがある場合は、還付を受けられます。
- 還付金の受け取り
- 過払い税金があった場合、金融機関の口座情報を提供し、還付金を受け取ります。
手続きは郵送や税務署での直接提出、またはe-Tax(電子申告)を使用することができます。
以下に、確定申告書の一般的な記入例を示します。具体的な数値や事例は架空のものですが、実際の申告の際は正確な数値を用いてください。
確定申告書B(収入金額等の明細書)の記入例:
1. 給与所得の金額
- 給与の収入金額: ¥4,000,000
- 給与所得控除後の金額: ¥2,200,000
2. 事業所得
- 事業の収入金額: ¥1,000,000
- 必要経費: ¥300,000
- 事業所得の金額: ¥700,000
3. 不動産所得
- 家賃収入金額: ¥800,000
- 建物等の減価償却費: ¥100,000
- 不動産所得の金額: ¥700,000
4. 譲渡所得
- 譲渡が発生した株式の売却額: ¥500,000
- 取得費用および譲渡費用: ¥200,000
- 譲渡所得の金額: ¥300,000
5. 雑所得
- アルバイト収入金額: ¥300,000
- 雑所得の金額(所得控除後): ¥250,000
6. 各種控除の金額
- 社会保険料控除: ¥200,000
- 生命保険料控除: ¥40,000
- 地震保険料控除: ¥10,000
- 医療費控除: ¥50,000
- 寄付金控除(ふるさと納税含む): ¥100,000
7. 所得金額の合計
- 総所得金額: ¥4,850,000
8. 納税額の計算
- 課税所得金額: ¥3,550,000(総所得金額 – 控除額合計)
- 所得税率: 10%(該当する税率を適用)
- 所得税額: ¥355,000
上記例で計算された所得税額は仮のもので、実際には累進税率が適用されるため、様々な所得税額が算出される可能性があります。この金額に基づき、過払いがある場合には還付を、不足がある場合には追加納税を行います。
また、上記の例には含まれていないが、住宅ローン控除や教育費控除などの項目もあるため、詳細は国税庁のウェブサイトや確定申告書の記入要領を参照してください。
確定申告を怠った場合の影響
確定申告をしないと、以下のようなリスクや不利益に直面する可能性があります:
- 延滞税の課税
- 申告が必要なのに提出しなかった場合、所定の納付期限を過ぎると延滞税が課せられることがあります。
- 無申告加算税
- 法定期限内に申告を行わない場合、納めるべき税金に対して無申告加算税が課されることがあります。
- 重加算税の対象となる場合
- 故意に申告を避けたと判断された場合、さらに重い重加算税が課されることがあります。
- 税務調査の対象に
- 確定申告をしないと税務当局の注意を引き、税務調査の対象となるリスクがあります。
- 還付金の受け取りができない
- 税金の払いすぎで還付金が戻ってくる場合でも、確定申告をしなければ還付を受けることはできません。
- 控除の適用を受けられない
- 医療費控除やふるさと納税の控除など、通常申告することで税金が減額されるメリットを失います。
- 信用情報の問題
- 長期に渡り確定申告を怠ると、クレジットやローン申込時の信用情報に影響を及ぼす可能性があります。
- 罰則の発生
- 重大なケースでは、刑事罰の対象となる可能性もあります。これには罰金や懲役刑などが含まれることがあります。
確定申告は、収入が発生した場合の義務であり、適切に行わないと財政的な負担だけでなく、法的な問題も引き起こす可能性があるため、期限内に正確に行うことが重要です。もし申告期間を過ぎた場合には、速やかに税務署に相談し、指示に従い申告手続きを進めることをお勧めします。
開業届を出していない場合でも、確定申告は必要です。確定申告は、その年の所得と税額を計算し、税務当局に報告するためのものです。もし自営業で収入があった場合でも、開業届を提出していなかったとしても、所得税法に基づいて申告と納税の義務があります。
ただし、開業届は、事業を始めたことを税務署に通知するもので、事業者としての公式なスタートを記録します。通常、自営業を開始した際には開業届を提出しますが、もし出していなかった場合は、税務調査等でペナルティを受けることもあります。開業届の提出は、諸手続きや節税のためにも重要なので、事業を行う場合はできるだけ早く提出するべきです。
コメント